昨今、子育て中のファミリーに足を運んでもらおうと、施設やサービスを充実させるスキー場が増えています。しかも、単に託児所や室内遊びスペースをつくるだけではない様子。
今回は、ファミリースキーの楽しさを専門に紹介する『ファミスキ.jp』編集部と、国内最大級の旅行情報を取り扱う『じゃらん』編集部に、子連れスキー環境の進化について取材してきました。
こどもが生まれるとスキー場から遠ざかる
私自身、4歳と2歳の子育て中です。5年前や10年前は、シーズンが来ると、スノボをしにスキー場へよく行っていたのですが、こどもが生まれてからは、完全に足が遠のきました。
小さいこども連れでは、スキー場までの移動の負担が大きいですし、一家で行くとなると金銭的負担もバカにならない感覚があります。なにより、スキー場に連れて行っても、こどもたちが楽しめないと思い込んでいました。
レジャーを考える際に、スキー場はまったく選択肢にあがってこなかったのです。
乳幼児と一緒でも雪遊びが楽しめる “雪の遊園地”:『ファミスキ.jp』編集部
実際、私のようなパターンは多いらしく、スノーレジャー業界も対策に力を入れています。『ファミスキ.jp』の竹川紀人編集長は「実は昨今のスキー場は “雪の遊園地”
に進化しているんです」と語ります。
竹川編集長「上の子が4歳でスキー場は、まだ早いかな、と感じると思います。実際のところ、スキーやスノーボードをする場所として見れば、早いでしょう。でも、雪遊びができる場所として見れば、乳幼児でも充分に楽しめます。たとえば東京ディズニーリゾートなどのテーマパークへ遊びに行くように、冬は雪で作られたテーマパーク(=スキー場)へ遊びに行く。『ファミスキ.jp』では、“雪の遊園地”
という言い方をしています。」
スキー場と言えば、淡々と滑走を繰り返す場所。あるのはゲレンデとリフトと、用具レンタル棟、それにレストハウスくらい。そんなイメージを持っている方も、多いのではないでしょうか。
竹川編集長「近年のスキー場は、ただ滑る場所というイメージから、大幅に進化しています。例えば、(ご当地キャラのように)スキー場のキャラクターがいたり、雪上メリーゴーランドがあったり、スノーラフティングができたり、5歳からスノーモービルが運転できたり。ソリで滑るにしても、今は多くのスキー場にスノーエスカレーターが設置されています。
もう一つ、単にキッズパークがあるというだけでなく、“雪育”
という考え方も登場しています。『ファミスキ.jp』でも、こどもたちを引率してのスノーキャンプを実施しているのですが、現場でこどもたちの成長を実感しています。」
“雪育”。なるほど確かに、雪遊びは、首都圏をはじめ都市部ではなかなか経験できません。しかも、スキー場は大自然の中に立地することが多く、こどもにとって貴重な体験になるだろうことは、簡単に想像がつきます。
データも裏付けるファミリーへの対応強化:『関東東北じゃらん』編集部
子育てファミリーへの対応を充実させるスキー場が増加する事実を、データの面から補強してくれたのが、『関東東北じゃらん』デスクの青木理恵さんと、編集の鈴木沙也香さんです。
デスク・青木「じゃらんリサーチセンターで調査したところ、“行きたいのに行けていない”
潜在需要には2つの大きな山が存在することが判明しています。一つは、若年層(18~29歳)です。中でも大学生は家族から離れて、友人たちとスノーレジャーを楽しもうとするケースが増えるわけですが、バイトして自分でお金を出すというハードルがあります。
もう一つは、子育て中のファミリーで、こどもにスノーレジャーを体験させたいという層です。移動、かさばる荷物、金銭的負担など、子育て中ファミリーがスキー場へ足を運ぶのはハードルが高い印象があります。スキー場側も課題に気がついていますから、多かれ少なかれ、子育て中ファミリーへの対応を強めているのが、全国的な傾向です。」
ただ黙って見ていても、お客さんはスキー場に足を運んでくれません。“行きたいと思っているのに、行けていない”
子育てファミリーへの対応は、商業的な意味でも至上命題というわけです。では、具体的にどのような対応がなされているのでしょうか。
デスク・青木「たとえば、スキースクールの充実が目立ちます。こどもは、一度でも痛いとか寒いとか、嫌な思いをしてしまうと、スノーレジャーがおもしろくなる前に、めげてしまう場合があります。
そこで、安全第一はもちろん、パンダの着ぐるみを着た先生がレッスンしてくれたり、いきなりゲレンデに出るのではなく室内から練習をスタートさせて、2~3日かけて徐々に滑れるようになるところまで導いてくれたり、至れり尽くせりのスクールが登場しています。
こどもが生まれるまでバリバリ滑っていた親は、こどもが楽しむのはもちろん、自分自身も楽しみたくなるようです。スキー場にこども専属のスタッフがいて、スキースクールに託すことができれば、一石二鳥です。
逆に、親が滑れなかったり、こども一人で参加させるのが心配な方向けに、こどもと一緒に参加できるスクールも見られます。かなりバリエーションは豊富です。」
“ゲレ食” と “レンタル” にも注目:『関東東北じゃらん』編集部
じゃらん編集部の目から見た、スキー場のファミリー向け最新サービスやトレンド、興味深い取り組みについても聞いてきました。
デスク・青木「食事は、現地で必ずお金がかかる要素です。にも関わらず、スキー場のご飯というと、カレーとカツ丼と牛丼とラーメンくらいしかなくてあまり充実していない、という印象がありませんか?
最近は、こども向けメニューを充実させたり、バイキングに力を入れたり、ご当地グルメを取り入れたり、ゲレンデの食事=“ゲレ食” に力を入れるスキー場が増えてきています。
中には “美味しくなかったら返金する” というサービスを始めたスキー場すら登場しています。まだ取り組み始めているのは一部という印象ですが、ゲレ食はどんどん充実していくと見ています」
編集・鈴木「私自身、スノーレジャーが大好きなのですが、今シーズンの特集記事を編集していて印象深かったのが、レンタル制度の進化です。好きなブランドのスキー&スノーボードを、何回でも交換してレンタルできてしまうシステムを取り入れるスキー場が登場しています。
もちろん、こども向けのレンタルも充実してきているようです。こどもはどんどん成長するので、ウェアやスキー板、靴などを買っても、すぐに使えなくなってしまいます。安くはないものなので、レンタルできると嬉しいですよね。
じゃらんnetのゲレンデガイド「全国スキー場・ゲレンデ情報2013-2014」にはファミリーに嬉しいゲレンデ情報もあるので、是非参考にして下さい。」
単にこども向けサービスを充実させるにとどまらず、まさにあの手この手を尽くしている印象があります。なんだかワクワクしてしまうのは私だけでしょうか。私が知っているスキー場とは、完全に別ものです。
失敗しないスキー場選びの3つのポイント:『ファミスキ.jp』編集部
では最後に、「はじめて乳幼児を連れて行く」としたら、どんな基準でスキー場を選べばいいのでしょうか。ふたたび『ファミスキ.jp』の竹川編集長に聞いてみましょう。
竹川編集長「1つ目は、こどもは飽きやすく、疲れやすいので、アトラクションが豊富なスキー場を選んで、まずは雪に慣れさせることを考えるのがおすすめです。ウェアやグローブなども、こどもだと安いものを買ってしまいがちなのですが、染みてしまえば、こどもはすぐにギブアップします。予備を必ず持っていきたいですね。
2つ目は、アクセスの良いスキー場を選ぶということ。雪道の運転に慣れていない方にとっては、雪の山道の運転は大変なので、高速道路のインターから近いスキー場なら安心です。
3つ目は、宿泊ならホテル、日帰りならスノーセンターのような、機能が集約されていてベースにできる場所があるスキー場がおすすめです。スノーレジャーは荷物が多くなりがちですし、小さなこどもも一緒となれば、現地での移動を少なくすることが重要になるからです。駐車場の場所一つとっても、実は重要だったりします。
他にもポイントはありますので、詳しくは『ファミスキ.jp』のウェブサイトを見ていただければと思います」
本当に2歳でも楽しめそう!
『ファミスキ.jp』竹川編集長、『関東東北じゃらん』デスクの青木理恵さん、編集の鈴木沙也香さん、たいへん参考になるお話、どうもありがとうございました!
取材を終えて実感していますが、スキー場の進化は完全に想像以上でした。5年前、10年前の印象で考えてはいけないですねー。
第一に、スキー&スノーボードをするだけでなく、「乳幼児が雪遊びをする」という新しいレジャーが生まれている点。第二に、子育て中のファミリー向けに、至れり尽くせりのサービスが登場しているという点。
こんなに環境が整っているのなら、我が家の下の子(2歳)でも充分に遊べそうです。考えてみればこどもって、雪があるだけで大はしゃぎするんですよね。いやー、おもしろそうじゃないですか。さっそくカレンダーにスノーレジャーの予定を書き込んでみようと思います!
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